2002年度
平成14年度 都議会第2回定例会
東京都議会第2回定例会は6月12日〜26日まで行われた。今定例会で私は党を代表して一般質問を行い、公会計について、教育について、小児医療について、八王子・西多摩地域の観光政策について述べた。最終日には、事業の立案段階から複数案を比較評価する「計画アセスメント(影響評価)」を導入した環境影響評価条例改正案は、自民、民主、公明などの賛成多数で可決、成立した。また、暴走族などによる落書きの禁止やピンクビラの公共の場所などでの配布禁止等を定めた迷惑防止条例改正案が全会一致で可決、成立した。ここでは、19日に行った私の一般質問と都からの答弁を紹介します。
■公会計について■
<私の一般質問>
はじめに公会計における複式簿記と発生主義の導入についてお伺いします。 第1回定例会の予算特別委員会で、私は、石原都知事並びに財務局長に対して、公会計においても複式簿記と発生主義会計を導入すべきであると強く主張いたしました。これに対して知事は、必要性を認め「とにかく会計の発想、方法というものを絶対に変えていくことが急務だと認識している」と強調されてました。 そして、この5月31日の定例記者会見で、知事は、公会計の複式簿記と発生主義会計を導入する方針を明らかにしました。私は、会計の専門家として、知事よくぞ決断をされたと高く評価するものであります。 そこで、改めて複式簿記と発生主義会計を東京都に導入した場合の効果と意義、そして、導入時期と手順について、石原知事の見解を伺います。
<石原都知事の答弁の主旨>
官庁会計への複式簿記の導入についてであるが、
一、現行の官庁会計制度の下では、資産と負債の関係や、減価償却費や金利といったコストについての情報が欠落しており、民間企業であれば当然行われているような評価、検証ができなかった。
二、複式簿記と発生主義会計の導入は、こうした問題を解決し、マネジメントを強化するために有効な手段であり、都政改革の道具として期待できる。
三、こうした観点から、都は、これまでも「機能するバランスシート」の作成などに積極的に取り組んできたが、今回さらに一歩進めて、都の財政会計制度への複式簿記方式の導入に向けて本格的に検討を行うこととした。 国に先駆けて、東京から会計制度の改革を目指していく。
<私の一般質問>
また、公会計に複式簿記と発生主義会計を導入するにあたっての手続き上の問題点として、新しい会計制度を導入しても、結局のところ総務省基準の決算書を作成しなければならないため、二度手間になる、という実務担当者の声があります。確かに企業会計基準をそのまま導入するのでは、行政コスト計算書を貸借対照表しか作成されず、改めてキャッシュフロー計算書、つまり従来の決算書を同時に作成しなければなりません。 ところが、この二度手間を防ぐ新しい会計処理が、基準として制定され、システム、ソフトも開発されて、既に公益法人等で活用されています。それは「公益法人会計基準」と呼ばれ、一つの取引が発生した場合、この基準を適用すれば、行政コストと資産並びに負債、そしてキャッシュフローが同時に会計処理することが可能になります。一度この会計基準をシステム化すれば、従来の決算書を含めすべての書類が同時に作成されます。つまり、二度手間は、生じません。財団法人等で活用されている公益法人会計基準のソフトの中には、企業会計の会計処理を行うだけで、公益法人会計の会計処理までできてしまうという優れたソフトもあります。 したがって、東京都が、複式簿記と発生主義会計を導入する場合、公益法人会計基準のフロー式のソフトを活用して会計処理をシステム化すべきであると考えます。見解を伺います。
<財務局長の答弁の主旨>
「公益法人会計基準」のソフトを活用した会計処理のシステム化についてであるが、都は、資産と負債の関係や事業に関するコストを正確かつ速やかに把握するため、複式簿記の導入に向けて本格的に検討を開始することとした。 導入にあたっては、ご指摘の決算書の作成手続きを含め、単式簿記を前提とした現行予算制度のあり方や、財産の増減との連動、借方・貸方への仕訳が伴うこととなる日々の会計処理など、数多くの課題を解決していく必要がある。 そのため、制度面や実務面から詳しく検討を行っていくが、お話の公益法人は、いわば、公共団体と営利団体との中間に位置しており、その会計システムは、行政に類似した公益法人が、複式簿記を採用している実例として、補助金や引当金、減価償却費の会計処理など参考になる点が多くあるのではないかと思われる。 貴重なご提案と受け止め研究してまいりたい。
■教育について■
<私の一般質問>
次に都立高校改革、専門高校の改革についてお伺いします。 平成14年5月に東京都が公表をした「専門高校検討委員会報告書」では、産業界が大きな変化をとげている中で、その変化の速さに専門高校の対応はまだ十分ではないとし、改善に向けての方策を確立する必要があるとしております。
確かに、報告書にもあるとおり、問題を抱えた専門高校も多く、改革が必要であることは認めます。しかしながら、「専門高校検討委員会報告書」で取り上げられている問題点は、必ずしもすべての専門高校に当てはまるとは限りません。 たとえば、私の地元にある八王子市の都立第二商業高等学校は、数年前までの生徒応募状況の低迷や中途退学者の増加に対する危機感をバネにして学校改革計画を策定し、国家試験合格などの高度の資格取得の推進や中学生に対する広報活動の強化など、積極的な学校改革に取り組んできました。現在では、経済産業省主催の国家試験である初級システムアドミニストレーターの合格者では、都内の高校生合格者の約半数を都立第二商業高等学校の生徒が占めるほどの実績を上げています。都内ではトップ、全国的に見てもトップレベルの成果であります。「専門高校検討委員会報告書」においても、各専門高校の在学生徒の実態は多様であり、全ての高校で画一的な学習内容を実施するのでは効果が上がらないとして、さまざまな状況に対応した、質の高い特色のある教育活動の展開が求められると指摘しています。都立第二商業高等学校はまさにその模範例を示していると思います。
さらに、とくにこの2年間では、毎年1月に発表される中学校 校長会発表の志望校調査や推薦入試、2月の一般入試における実質的な受験者数においても、都立第二商業高等学校は都内有数の競争倍率が記録されています。いわば、都立商業高校の雄としての存在を確固としています。従って、都はこうした同校の努力と成果、引いては社会貢献性を高く評価すべきあるとともに、同校の特性を更に発展拡大させるべきと考えます。所見を伺います。
<教育長の答弁の主旨>
都立第二商業高校についてであるが、同校は、商業科と情報処理科を設置し、ビジネスに関する基礎知識の習得と資格取得を目標に、教育成果をあげるよう努めていると承知している。
同校を含む専門高校の今後のあり方については、本年5月に、専門高校検討委員会報告書において、専門高校の活性化の方向性について、考え方を示したところであり、同報告の具体化に向け、現在、検討を進めているところである。
<東村の一般質問>
また、第2次高校改革においては、各地で様々な反響を呼び、賛否の議論が交差致しました。新たな高校改革の計画にあっては、関係者の理解を得ることと、手続きのより一層の丁寧さが求められます。第2次高校改革までの教訓を生かし、幅広い都民の理解を得られるような新たな高校改革案にすべきでありますが、見解を伺います。
<教育長の答弁の主旨>
都立高校改革に対して都民の理解を得ることについてであるが、これまでの計画の策定においても、学校関係者や地域の関係者等に説明を行い、理解を求めてきたところである。 新たな実施計画の策定に際しても、ご指摘の点を踏まえ、教職員、保護者、同窓会等を含めた学校関係者、地域の関係者等に対する説明を十分行うなど、関係者及び地元の皆さんの理解が得られるよう努力していく。
■小児医療について■
<私の一般質問>
小児医療の充実についてお伺いします。 第1回定例会の予算特別委員会で、都立八王子小児病院の統廃合問題の質問の最後に、保健医療計画の改定にあたっては、小児医療の充実を最優先課題として取り組むべきであると申し上げました。これに対して、衛生局長は、「改定にあっては、最重要事項の一つとして、検討の場である推進協議会で議論を深め、関係機関の意見も聞き、小児医療の一層の充実にむけてた具体的な施策を盛り込み、その実現に努めてまいりたいと前向きの答弁を頂きました。
5月28日に開かれた「東京都保健医療計画推進協議会」では、現実に診療にあっている小児科医師を招き、東京都における小児医療の現状および課題について聴取をし、検討・審議されたことは高く評価をするものであります。その中で、小児初期救急の現実的な対応策の一つとして、三重県で今年から始まった小児科医のテレフォンサービスが取り上げられていました。緊急時には、保護者が素早く相談することが可能なテレフォンサービスの実施により、保護者の安心感が高まり、小児救急医療機関の過剰な負担が軽減されることが期待されます。 一方、都においては、二次救急医療機関の過剰な負担を軽減させるための一つの方策として、小児の初期救急医療の充実に取り組んでおり、今年度から新たに、平日夜間に固定施設で小児初期救急医療事業を実施する区市町村に対して運営費の補助をすることとしています。 私は、身近な地域で、救急に関する相談を含む診療の拠点として、こうした施設を早急に拡充することが重要と考えています。都では、区市町村の実情に即し、平成14年度予算では14区市町村で実施する予定となっていますが、これまでの成果と今後の取り組みについて、見解を伺います。
<健康局長の答弁の主旨>
小児初期救急医療事業の取組についてであるが、ご指摘のとおり、身近な地域に、救急に対応する診療拠点を整備することは重要な課題である。 都内では、杉並区、練馬区及び葛飾区が、区又は地区医師会の休日夜間急患センターで、中野区では、中核となる病院を利用し地域の小児科医が診療を行うなど、様々な固定施設を利用し、地域の実情に即した形態で小児初期救急医療事業に取り組んでいるところである。
今後、こうした創意工夫による取組事例や運営のノウハウ等を有効に活用し、地域の実情と意向を踏まえながら、区市町村に積極的に働きかけ、小児初期救急医療のより一層の充実強化に努めていく。
<私の一般質問>
また、小児科医師が不足しているという困難な状況の中で、地域において継続的に医療サービスを受けることができる小児科がやはり不可欠であります。従って、開業医を支援して、地域における小児科診療の基盤を強化するなど国や区市町村、医師会等と協議をし、本格的な検討を開始すべきであります。見解を伺います。
<健康局長の答弁の主旨>
地域における小児科診療の基盤の強化についてであるが、都のこれまでも、小児医療に係わる診療報酬制度の改善や、小児科医の養成、確保について国に提案してきたところである。 また、今年度から、地域で小児医療を担う医師を確保し、小児科診療の基盤を強化するため、区市町村、医師会等、関係機関の協力の下に、開業医に対する小児医療研修事業を開始する。 小児医療の充実は、都の重要施設の一つであり、今後とも、その拡充に努めていく。
■八王子・西多摩地域の観光政策について■
<私の一般質問>
最後に八王子・西多摩地域の観光産業政策を促進する温泉療法等の普及対策について伺います。今や温泉技術が進歩し、八王子の駅前にも温泉がわきでる時代になりました。健康局発刊の「東京の温泉 利用施設一覧」によると八王子市には温泉施設が4ヶ所、西多摩地域には39ヶ所の温泉施設があります。 温泉には、本来、リハビリテーションやリラクゼーションなど心身両面で健康を増進させる効果があることが指摘されています。 都民の健康増進・疾病予防と医療費抑制の必要性が同時に要求されている今日、温泉資源を都民の健康増進・疾病予防に幅広く、かつ、有効に活用すべきであります。 そこで、お伺いします。 第一に、温泉療法は、温泉に含まれている成分の化学的な効果や温泉地の自然環境、気候要素などを総合的に含めて医療に利用するものであります。ドイツなど一部の欧州諸国では、既に温泉地に温泉の専門医を常駐し、その指導の下に温泉療法が行われております。長野県の北御牧村では、シルバー温泉プール浴教室など温泉を生かした健康づくりを進めましたが、70歳以上の方の一人当たり医療費は、平成6年から9年にかけて17.4%も減少いたしました。都においても、健康増進計画の策定に当たっては、温泉療法等の活用を組み入れるべきであります。見解を伺います。
<健康局長の答弁の主旨>
温泉を活用した健康づくりについてであるが、健康づくりは、個人の主体的な取組が基本となるが、社会全体として個人の健康づくりを支援していくことも必要であり、地域の特性に応じた温泉等の地域資源を有効に活用した健康づくり施策を進めていくことは有意義なことである。 現在、健康増進法案は、国会で審議中であるが、同法案によれば、国が基本指針を定め、都道府県及び市町村は、健康増進計画を策定することとなっている。 今後、温泉を活用した健康づくりに関する情報収集や普及啓発に努めていく。
<私の一般質問>
第二に、高齢者や障害を持つ人が健康増進・疾病予防のために温泉施設を利用する場合に、一番苦労するのは階段や段差等であります。そこで、高齢者や障害を持つ人が安心して利用できるよう、温泉施設――特に宿泊施設のバリアフリー化に対する支援を行うできであります。見解を伺います。
<産業労働局長の答弁の主旨>
宿泊施設のバリアフリー化に対する支援についてであるが、お話の滞在型の温泉施設を利用する高齢者や障害者の方々が、安心かつ快適な旅行を楽しむためにも宿泊施設のバリアフリー化を進めることが必要である。 このため、本年度から、都内のホテルや旅館等における、通路の段差解消や廊下の手すり設置など、バリアフリー化のための施設改修に対する支援事業を実施することとしている。
<私の一般質問>
第三に、温泉を活用した健康の街として、観光振興を図ることについてであります。八王子や西多摩地域にあるこれらの温泉施設に対する整備を進めながら、温泉療法を活用し八王子・西多摩地域の観光を促進すべきであります。そこで、温泉療法等を組み込んだ各種ツアー、例えば、グリーンツーリズムやアウトドアスポーツと組み合わせ、宿泊を伴った参加型・体験型のメニューを作るなど、来訪者のニーズに合わせた観光資源の開発を行い、民間事業者や地元観光団体等の取り組みを積極的に支援すべきであります。都市再生も大事でありますが、人の命の再生も大事であります。 知事、是非とも一度、東京の奥座敷・八王子・西多摩地域の温泉に入りに来てください。 千客万来の都市づくりを標榜し、平素から多摩地域の自然環境は世界的な観光資源であることを強調されている石原知事の見解を伺い、私の最後の質問を終わります。
<石原都知事の答弁の主旨>
多摩地域の観光振興についてであるが、
一、多摩地域は都心から近く、温泉資源もあり、森林や渓谷などの自然に恵まれている。
二、多摩地域の観光の魅力をさらに引き出すためには、民間事業者・団体や地元自治体が中心となり、温泉資源などを活用し、滞在型観としての付加価値を高めていくことも一つの方策である。
三、都として多摩地域を含めた広域観光ルートを開発するとともに、観光情報をネットワーク化し、国内外に積極的に発信するなど、多摩地域の観光振興に努めていく
